香り屋日記

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香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。

2018年07月17日

ラベンダー

本格的な夏が到来し、連日うだるような暑さが続いていますね。
さてこの時期、北海道ではラベンダーの見頃を迎えますが、
ラベンダーの品種は大別すると、以下の3種類があることをご存知でしょうか?

①真正ラベンダー(イングリッシュラベンダー)
②スパイクラベンダー
③ラバンジン

真正ラベンダーは海抜800m以上の高地で育ち寒さに強く、
一方、スパイクラベンダーは海抜200m前後の低地で栽培され、比較的暑さに強い種と言われています。
そして、ラバンジンは海抜400~500m付近で真正ラベンダーとスパイクラベンダーが自然交配して生まれた種とされています。

一般的にラベンダーというと真正ラベンダーのことを指し、富良野にあるラベンダー畑もこの系統がメインです。

ラベンダーの品種によって、香りも少しずつ異なります。
私自身、本物の生花を嗅ぎ比べたことはないのですが、精油なら嗅ぎ比べたことがあります。

最も香りが良いとされる真正ラベンダーはリナリル アセテートやリナロールといった香気成分が多く
フローラルな香りが強いですが、ラバンジンやスパイクラベンダーはハーブ感が強くスパイシーで
少し湿った土のような野生的な香りがします。
これは何故なのでしょうか。
理由の一つは、ラバンジンやスパイクラベンダーのように海抜が低い場所で栽培される品種ほど、
カンファーや1,8-シネオールといった香気成分の割合が増えるからです。

実はこのカンファーや1,8-シネオールといった成分には忌避効果(虫よけ効果)があります。
高山よりも低地の方が天敵となる害虫が多いため、そういった自然環境の中、
自分で動くことのできない植物が、防衛手段として身につけたテクニックなのでしょうか。

そう考えると、植物に組み込まれたシステムってすごいですね!
植物も高度な知性をもった生き物なんだなと気づかされます。

今年の7月の3連休は色々と予定が重なり、旅行に行けませんでしたが、
来年あたり北海道のラベンダー畑へ行けたら良いなと思う今日この頃です。

DMK

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