香り屋日記

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香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。

2020年03月03日

梅の花の香り

寒い日と暖かい日が交互に訪れ、春に向かいつつある今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

2月上旬、梅の花が咲くころに和歌山の南部梅林を訪れてきました。
今年は開花が早かったので、根元の花は咲き終わって先の方だけになってしまいましたが間に合いました。

この時期は、いくつかの山の斜面が一面薄いピンク色に染まり、車や電車から降りた時にふわーっと空気が香ってくるのが感じられます。
花が根元から先まで順に咲いていくので長くその景色を楽しめるのも梅見の魅力です。

山の斜面に段々に植えられている梅、45°はありそうな斜面に荷物運搬用にトロッコをひいているのをみかけますが、それがまるでジェットコースターのような角度で。。
農家の方の大変さが想像しきれません。


和歌山だけではなく、いくつかの梅林を訪れると、その時期に応じて色んな鳥が訪れます。
メジロが花をつついているのを見たり、鶯が「ホ~・・・ホキョキャキョ!」とまだ下手な歌の練習を繰り返しているのを聞くのも、和みますね。

さて、梅の香りは、どんなイメージでしょうか。
白、赤、ピンク、緑と色々な色の花が咲き、少しずつ香りが異なります。
多いのはスパイシー、クローブに含まれるオイゲノールが良く香ってドライな感じの花。
時折、梅酒のようなフルーティな香りが少し花からも感じられるものや、シャンプー様の華やかなフローラルのものもあります。
梅はバラ科。バラと共通の香りが多いですが、近づくと少し和風なスッとした感じの香りがしますね。バラとジャスミンを合わせたものをベースに香りを表現する事があります。

一面に咲いて風にのって遠くまで香ってくるのは、もう少し柔らかい優しい花の香りです。梅がたくさん咲いた時にだけ感じられる香りです。
次年度以降になりますが、ぜひピンク色の山々をぜひ一度訪れてみてください。

厳しいニュースが多い中、待ち遠しい春、ぜひ心穏やかにお過ごしください。


花々

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