香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2005年12月27日
田舎駅
当社の営業拠点は、大阪、東京、名古屋の3ヶ所。当然、営業には出張がつきものになりますが、その時には、都会ではなかなか出来ない体験ができたりします。とある地方に行った時のことですが・・・
単線の2両列車に乗り、けっこうな田舎の駅で下車、「タクシーを・・・」と思ったが、一台も見当たらない。辺りを見渡すと、工事現場にあるようなプレハブに「○×タクシー待合所」という看板がある。
開けっ放しの戸から中を覗くと、中は埃だらけで薄暗く、古い木製の机と黒電話、破れて綿が出まくりのソファー、そしてなぜか片方だけの靴がある。どう見ても廃墟・・・。
電話の前には、「受話器を取ってお話し下さい」(当たり前)と手書きで書かれた破れかけの紙が貼られている。
「不気味すぎる・・・夜なら絶対できんな・・・」と思いつつ受話器を取ったら、「はいはい~、お名前は~?」カン高いおばちゃんの声。
一瞬にして現実に戻してくれた。(ありがとう、おばちゃん。)
帰りも同じ駅にタクシーで到着、一万円札を出すと「あら~、お釣りがないです・・・」と運転手さん。
「じゃあ、ここで切符を買うので、それで両替してきます」と車を待たせて切符を買いに行く。
すると駅員さんが、「お客さん、もう列車来ますからこのまま行って、下車時に運賃払って下さい。次は45分後までありませんよ!」
この辺りの列車はワンマン列車で、切符を買わなかった場合は車内で整理券を取るのである。
「いえ、次のに乗りますから。」「え?いいんですか??・・・ホント、間に合いますよ」
なんとまぁ、タイミング悪すぎ・・・。
で、45分間駅で待つ・・・切符売り場の窓口越しには、新聞に雑誌、飲み物やお菓子にタバコ、旅館のパンフレット。キヨスクが無いので、切符売り場にすべて集約されており、駅員さん一人がすべて兼任である。こういうのも都会の駅では見られない光景で、何だか情緒があっていい。
そして何と言っても、空の色と空気がきれいで、空を見ながら目一杯深呼吸を繰り返してみると、気分はもとより、鼻の細胞が生き返るような気がした。
その時以来、公園などに出かけた時には空を見ながら深呼吸をするようにしています。
バーベキューの煙に注意しながら・・・。
[カオリーマン]