香り屋日記

ホーム > 香り屋日記 > 味覚の行方

香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。

2005年12月20日

味覚の行方

好きな食べ物を食べ過ぎて、逆に嫌いになってしまった経験はありませんか?それはしゃーないって言われそうですが、でもよく考えてみると、好きだったものがどうしてたかだか1~2週間毎日食べたくらいで、嫌いへと転じてしまうのかわからなくなる。好きではなくなった位ならまだしも嫌いへと転ずるものは何なのか。これはたぶん、本質的にはそれが嫌いで、それを食べ続けることによって本質の嫌いという所まで到達してしまったのではないかと思えるようになってきた。

そう考えると、いろいろなことの説明がつくような気がする。たとえば、松茸。日本人にとっては好ましい香りとされるが、外国ではいやな香りとされていることを、先日テレビの番組で見た。これなども、ひょっとして日本人も本質的には松茸の香りが嫌いであるが、ただそこの所に到達するまで頻繁に食されず、本質の地点にまで至っていないという解釈をすれば納得いく様な気がする。

そうなると、食品業界に携わるものにとってはなんとも不安になってしまう。好きなものを多くの人にどんどん食してほしいのだが、本質的に嫌いのものであったならばゆくゆくは嫌われてしまう事になるからだ。本質的に好きなものであればいいのだが、それがわかれば苦労は要らない。となると、松茸のように季節的なものとか、少々高価なものとかで、頻繁に食されないような操作が必要となってくる。ロングラン商品の秘訣は、いかに程ほどに食してもらうかということがポイントということなのでしょうか。

[やっとかめ]

PageTop