香り屋日記

ホーム > 香り屋日記 > 味覚の行方3

香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。

2006年03月21日

味覚の行方3

こんにちは、やっとかめです。やっとかめというのは、ご存知のように、名古屋弁の「おひさしぶり」という意味です。私は名古屋周辺部で産声をあげて、小さい頃はよく名古屋の東山動物園へ父親に連れて行ってもらいました。普段の生活では見られない動物たちを、興味深くじっと見つめていた記憶があります。八木何とかという人のナレーションのTV番組「野生の王国」もよく見ていました。インパラはおいしそうに草を食べ、チーターはそのインパラを襲い、肉をむさぼり食う。

しかし、インパラがおいしそうに草を食べているのを見て、チーターは「草ってそんなにおいしいのか?」と一度も思わないのか?と子供ながらに、不思議に思えたものです。インパラがそんなにおいしそうに草を食べるなら、一度草を食べてやろうと思ったチーターはいなかったのか?インパラも、うまそうに生肉を食べるチーターを見て、一度くらい生肉を食べてやろうと思ったインパラはいなかったのか?残念ながら「野生の王国」ではそのようなシーンもなければ、報告もありませんでした。彼らは、ただひたすら、来る日も来る日も、同じものを食べ続けているだけ。飽きることなく!

それが本能だと言ってしまえばそれまでですが、ではなぜ、人間にだけそれがないのかが不思議でなりませんでした。草も食べれば、肉も食べる。知恵によって、自然界にはない加工品までつくりだして、食している。人間だけが特別なのでしょうか?

人間だけ違うとはどうしても考えにくいし、人間も本能的な食べ物があると考えた方が、ごく自然のような気がするのです。私は、間違いなく人間にも本能的な食べ物があると思うのですが、ここで少しお断りしておきます。たとえ、人間の本能的な食べ物を見つけたとしても、不幸なのかどうかわかりませんが、知恵によって他の味を知ってしまった以上、本能的食物だけを毎日食する他の動物のようにはなれないと思います。しかし、それを探っていくことは非常に興味をそそられることだと思うのです。

少なくとも、昼飯に食べた料理が、家の晩ご飯にまた出てきた時に、「げっ、げげげっ・・・っと」思うような食べ物は、本質的に好きではないことは確かです。本質的に好きであれば、「こんな好きなものがまた食べられる~!」と飛んで喜ぶはずです。

<次回へ続く>

[やっとかめ]

PageTop