香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2006年05月02日
味覚の行方4
動物が本能的食物を来る日も来る日も飽きることなく食するように、人間にも毎日毎日食しても飽きることがない本能的食物があるはずだと前回まで書いてきましたが、ここでもう一度お断りしておきます。人間が本能的食物だけを食べ、もしくはそれに付随した食物だけを食すればよく、それ以外のものは要りませんなどとここで言おうとしているのではありませんことを重ね重ね申し上げておきます。
知恵によってつくられた加工品の味を知ってしまった以上、本能的食物のみを食する生活には戻れないということです。文明的生活の便利さに慣れたものが、原始的生活に戻れないのと同じだと思います。
しかし、人間の本能的食物が何であるかを知ってしまえば、食品を開発するにあたって、大きなヒントになるのではないかと思うのです。この本能的食物に付随した物を仮につくり出せば、一過性のブームに終わることなく、不変のブーム(こうなればもうブームとは言わないかもしれないが)となりえると考えます。なにしろ、いくら食べても食べても飽きることのない味なのですから。
次回へ続く
[やっとかめ]