香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2007年05月15日
味覚の行方 10
チーターが来る日も来る日も肉を食べ、インパラが飽きることなく草を食べ続けるのを見て、人間にも本能的食物があるのではないかということでここまで話しをすすめ、前回人間の本能的食物は何かを結論づけました。本能的食物なのですから、他の動物のように来る日も来る日も、毎日毎回食しても、おそらく飽きることはないでしょう。
これまで何度も断っておきましたが、改めてここでお断りしておきます。人間の本能的食物が一体なんなのかわかりましたが、人間の本能的食物だけを食すればいいなどと、ここで言おうとしているわけではありません。前にも述べましたが、人間の知恵によって他の味を知ってしまった以上、本能的食物のみを食する生活に戻ることなど、近代的生活から原始的生活に戻ることができないのと同様、できっこありません。ここで言いたいのは、本能的食物なのですから、トラウマなどの要因は別として、人間にとって飽きることのない味ではないかと仮定しているのです。
つまりフルーツという風味は、人間にとって飽きることのない味ではないでしょうかということです。
次回へ続く
[やっとかめ]