香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2007年05月22日
ミルクセーキ
大阪の新世界へ行った。小学生の頃、母親に連れられて行って以来である。通天閣やジャンジャン横丁などで知られる昔ながらの大阪の繁華街であるが、汚い&怖い場所という悪い意味でも有名であった為、地元に住む以外の私らは中々近づきにくいのが現状でした。実際、高校生の頃、クラスの友人数人で学校の帰りに探索に行ったとき、突然知らないオジサンが意味不明な事を言って追いかけて来た記憶もあります。
ここ最近は、ドラマや歌の舞台にもなったり、昭和の下町風情が残る独特の雰囲気や文化が全国的にウケて、観光地として再び賑わっているとの事で、昭和以後初めてのこの地を訪れました。
やはり当時の印象とはかなり違っていて、随分綺麗に整備されている上、歩いている人々と言えば、家族連れやカップルなどが多い。通天閣は、上る順番待ちの人々で長蛇の列。有名な串カツ屋も空席待ちの列。もはやりっぱな観光地であり、私が持ってた印象はもう過去のものでした。
途中、グラス(コップ?)売りのジュース屋を見かける。手作りの飲料をその場でジョッキに入れてもらって飲む、昔の駄菓子屋スタイルである。懐かしいミルクセーキに惹かれ、「おっちゃん、ミルクセーキ下さい」と注文。「・・・・・」お爺さん、無言。しかもこっち見てないし・・・。ゆっくりと体が動き「一個?」震える手でミルクセーキを注ぎ、お代を渡しても無言。交わした言葉はさっきの「一個?」だけ。普通なら気を悪くする所であるが、昔の駄菓子屋風情を垣間見たようで、逆に「おっやん、ええキャラやなぁ~」と思わず心で笑ってしまった。このミルクセーキ、濃い目も黄色と泡立ちが絶妙なのだが味が素朴すぎる感じで、後口に甘みだけが残る。子供の頃から親しんだ味とはちょっと違う。あのコクが有って洗練された甘みが感じられないのは、香料屋的にはバニラ エッセンスが不足していると考察しました(笑)今も昔も変わらず、バニラ香料はやはり主役の香料であるのだと再認識しました。
しかし、この雰囲気の中、この素朴なミルクセーキを味わえるのも新世界ならでは。また今度立ち寄ってみたいと思います。
[カオリーマン]