香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2007年12月18日
【天職】
最近、自分にとって印象的だった事をひとつ。仕事でお付き合いさせて頂いている方の話なんですが、すでに数年前に勤めておられた会社を定年退職され、別の会社で今も開発アドバイザーとして働いておられる。
その方が今一番やっている事は、本当に美味しい食材を一つでも多く食べる機会を持つという事。
大金を使って高級な店に行くわけではない。当地でしか味わえない旬の味を求めて、日本各地を歩き回り、出来るだけ現地の人とコミュニケーションを取り、その地の特産物だけでなく風土や文化をも知る事で、より理解を深めているらしい。世間で常識的に知られている事以外で、新たに知る事が驚く程多いものだと言う。
TVでも良くこのような番組を目にするが、自分だけでそれをやるのは、そう簡単に出来るものではない。
高齢とも言える年齢になられた今でも、新しいアイデアや味の追求について話される時は、本当に幸せそうな笑顔をする。心の底から開発という仕事が好きで、一生開発者として生きて行かれるんだと思う。
「開発者は、自分自身が本当に美味しいものを知る事により、感性を磨き続けないと、時には判断を誤り良い製品は作れない」というのが信条。
私達香料メーカーにおいても、人工的に作るとは言え、いかに「本物のおいしさ」を表現できるかどうかという点では同じです。
何よりも、このように一生追い続けられる仕事を持つという事、自分には出来るのかどうかわからないけれど、とても幸せな事なんでしょうね。
[カオリーマン]