香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2009年06月16日
『生』
そろそろビールの美味しい季節ですね。価格とそれに見合う品質的魅力により、ご家庭においては発泡酒や第三のビールに押されてしまってはいるものの、大抵の人はやはり「生ビールが一番!」と思っているでしょう。
生と言えば・・・ビール以上に話題になっているのが、ご存じ「生キャラメル」。口に入れた瞬間にじわ~と溶けだしてくる食感と風味に魅せられた方も多いのではないでしょうか?
同じ生でも、生ビールは加熱処理をしていないという事で生、生キャラメルは、生クリームを多く含んでいる意味合いから生と称されている感じですが、これには定義づけは無いようです。
私など古いタイプの人間は、ただ「生」と言えば「加熱による調理や加工をしていない→日持ちがしないもの(生モノ)」というイメージというか固定観念が未だにありまして・・・この「生キャラメル」も、その柔らかな食感やクリーミーな風味から、最初はこの「生モノ」という印象だけを持っていました。普通に考えて、加熱しないとキャラメルにはなりませんよね・・・。実際、生チョコや生菓子のように、クリームの含有量や水分含有量で「生」の定義づけをされているものも多いのです。
いずれにせよ、生と称せれるモノは「新鮮」「加熱工程が少なく、風味や食感が柔らかい」=「美味」という印象になりますが、素材本来の風味もさることながら、加熱調理や加工をする事によって失う香りも多くありますが、逆に「美味しさ」に繋がる香りを得るものも沢山有ります。
香料は、人工的に香りを創り出せるという利点から、本来の製造過程では得られないですが、そのような美味しさに繋がる風味を与える事が出来ます。
本物感だけでなく、その食品自体に「新しい美味しさ」と納得されるような香りの提案を続けられればと思います。
[カオリーマン]