香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2011年11月08日
「Pandanus」
今年の夏、タイへ旅行に行った際に初めて口にする不思議な味の飲み物に出会いました。
ホテルにチェックインしたときに受付のお姉さんが「2階の店で1杯どうぞ」とドリンクの無料券を渡してくれて、これはありがたいと思いさっそく2階へ行き注文をしようとしたところ、メニューがない…。とりあえず店員のお姉さんに券を見せると「#$%…&=*+」タイ語で何を言っているのかさっぱりわからない!2人の間に微妙な空気が流れる。するとお姉さんが「とりあえずこれを飲んでおけ、タイではポピュラーだぜメーン」という雰囲気で出されたのがコレ。
おお、おいしそう!見た目からライム系の爽やかな味を想像し、一口飲んでみる。
すると予想通り爽やかな風味が口の中に広がる…と思った次の瞬間、なんとも言えないエグさが爆発する。…おおーー!これはマズイ!!なんの味に例えればいいのかわからない、初めての味でした。あまりのマズさに紙とペンを持っていき、この飲み物の名前を教えてほしいと頼むと「Pandanus」と書いてくれて、「フルーツですか?」と聞くと「フルーツではない#$…%&*@」どうやらフルーツではないらしい。
日本に帰って調べたところPandanus(パンダナス)とはタコノキ属という属名だそうです。常緑の高木で果実もなるようです。東南アジアにおいてタコノキ属の葉は手工芸の材料になったり、料理の香り付けに用いられるなど、広く利用される植物だそうです。インターネットで「タコノキ属」と検索すると画像が出てきますので見てみてください。
私が飲んだものは、葉の部分から作ったものなのか果実の部分から作ったものなのかは定かではありませんが、タコノキ属の木の見た目から、あの味がするのは妙に納得してしまいます。世の中にはまだ知らない食べ物がいっぱいあることを思い知った旅でした。まあ、日本であの味が流行ることはないと思いますが…。
[たいち]