香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2012年09月18日
その土地の香り
先日、初めて飲んだお酒があります。
アブサンという薬草系のリキュールで、アルコール度数がとても高いお酒です。水割りにして角砂糖を入れて飲みました。
日本ではあまり馴染みのないお酒ですが、フランスをはじめ、ヨーロッパでは親しみ深いもので、カフェなどでもよく飲まれているそうです。
一言でどんな味かというと、歯磨き粉のような味です。スーっとした清涼感と甘いハーブの香りがなんとも独特で、日本人の嗜好にはあまり合わないかもしれませんが、私はこの独特の香りが気に入りました。香りは主原料のニガヨモギやアニス、フェンネルからきているようです。いずれも香料としても使われるハーブです。
以前、ヨーロッパを旅した時にこのアニスの香りによく出くわしました。お菓子やパン、煮込み料理でアニスの香りをスパイスとして効かせるものが多かったです。ヨーロッパの文化にはなくてはならない香りの一部なのでしょう。タイ料理でいう、パクチーのような役割でしょうか。その土地にはその土地に伝わるそれぞれのハーブやスパイスの香りがあることを改めて感じました。
日本でも夏にそうめんにミョウガをいれたり、冬は柚子の皮を添えて湯豆腐を食べたり、季節ごとに薬味を変えて風味を楽しむ文化がありますね。少し涼しくなってきたので、七輪で秋刀魚を焼いて大根おろしとスダチを添えて食べたいなぁと思う今日この頃です。
[猩々]