香り屋日記

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香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。

2013年11月12日

「藤袴」

先日、京都にある下鴨神社に行ってきました。気持ちの良い秋晴れの日で、神社内は七五三参りや結婚式でとても華やかに賑わっていました。

そのなかで、ひっそりと、控えめに咲いている花がありました。藤袴(フジバカマ)です。万葉集では秋の七草として詠まれ、源氏物語にも登場するほど、昔から親しまれてきた花です。
見た目は薄紫色の小さな花をたくさんつけて、決して派手ではありません。
香料とはどんな関係があるかというと、この藤袴の葉っぱ、生のままでは匂いはしませんが乾燥させるとオルトクマリン酸という物質が生成され、桜餅のような甘い匂いになります。

昔の人は乾燥させた藤袴の葉で匂い袋をつくり、着物の中にしたためていたそうです。とても贅沢な天然香料の使い方ですね。

昔は河原や道端など、生活の身近なところに沢山生えていたそうですが、近年では藤袴の原種がどんどん減っていて、絶滅の恐れがあるそうです。きれいな水と空気のあるところでしか育たない藤袴。大昔からつながるこの小さな花を絶やさないように大事に守っていきたいと思いました。
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[猩々]

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