香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2014年10月07日
つながる香り
先日、会社の先輩と高野山に行ってきました。
いくつかお寺をまわったのですが、どのお寺にも本堂の入り口に小さな壺が置いてあることに気づきました。
中を覗くと、粉末のお香のようで、白檀や桂皮の香りがしました。
これは「塗香(ずこう)」といって、仏像に供えたり、修行者がからだに塗ったりして身を清め、邪気を近づけないために用いるお香だそうです。もともとの起源はインドにあり、体臭を消すために体に塗っていた習慣が仏教に取り入れられたとか。
ところで、香料の歴史のはじまりは、紀元前3000年ごろといわれています。古代エジプト人は、偉い王様が亡くなるとその亡骸に白檀や桂皮などの香料をたっぷり塗りつけ、葬ったそうです。
時代や地域や宗教を超えて、同じ香りをあの世とこの世をつなぐ大切なものとして扱っていることを考えると、香りとは本当に奥深いものだなぁと思い耽ってしまう、秋の夜長です。
[猩々]