香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2019年01月22日
フィンガーライム
厳しい寒さが続きますが、皆さん如何お過ごしでしょうか。
普段私は17時頃になると清掃作業のため、一旦開発室の外に出るのですが、
1月になり少しずつ日が長くなってきたなと実感する今日この頃です。
さて、少しさかのぼった話になりますが。。。
昨年11月、情報収集のため東京ビッグサイトで開催された野菜・果物ワールドに参加してきました。
そこで少し珍しい展示品がありましたので、今回はそのご紹介をしたいと思います。
その名はフィンガーライムという果物!! 皆さんはご存知でしょうか。
枝豆の鞘くらいの大きさをしていて、皮を剥くと直径1㎜ほどの小さな粒(果肉)がびっしりと入っており、別名キャビアライムとも呼ばれています。
用途は肉や魚介類の臭み抜きとして、料理に添えて使用することが多いみたいです。
名前を聞いたことはありましたが食べたことがなかったので、試食させて頂きました。
口に入れるとプチプチと弾けるような食感が特徴的で、香りはシトラス特有のアルデヒドが強く少しベタッとした油っぽさがあり、
味は一般的なライムに山椒のようなスパイシーさをミックスしたような感じがしました。
このフィンガーライムですが、品種によってピンク・紫・グリーン・黄色と色とりどりで見た目もかわいらしいので、
昨今のフォトジェニックといった観点から国内においても少しずつ認知され始め、需要が上がってきているようです。
ただ生産が少々面倒なため(フィンガーライムの木には無数のトゲがあり、収穫しにくいため農家の方が作りたがらないようで)、希少価値が高いのだとか。
国内では1つ300円くらいで販売されているみたいです。
こういった展示会は、会場へ行くまでの時間やコストはかかりますが、一度にたくさんの生の情報を入手できるので非常に有り難いなと感じます。
香りを作るという仕事は分析データに基づいて開発していく事も重要ですが、データだけでは再現しきれない微妙な味の差というものを埋めるために、
やはり実物を食べて官能で感じたことを取り入れるということも非常に大切になってきます。
今回の展示会ではフィンガーライム以外にも様々な果物・野菜・加工食品等の出展があり、
色々と参考になったので、今後の業務に活かしていければなと思います。
DMK