香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2019年07月09日
ペトリコール
蒸し暑くジメジメした季節が続きますね。
つい先日、近畿地方でもようやく梅雨入りの発表がありましたが、これは観測史上最も遅い梅雨入りだそうです。
この時期、よく体験することのできる私の大好きな香りがあります。
それは太陽に熱されて乾いたアスファルトが雨に濡れた時のモワッたとしたあの独特な香りです。
少しホコリっぽくガサガサとした感じと、湿り気がある土のような感じが合わさった非常に複雑な香り。。。
実はこの香りには名前があり「ペトリコール」と呼ばれています。
オーストラリアの鉱物学者によって作られた造語らしく、ギリシャ語で「石のエッセンス」という意味なんだとか。
論文では「長い日照りが続いたあとの、最初の雨に伴う独特の香り」と定義されているみたいです。
では、どうしてペトリコールの匂いが大好きかというと、この匂いを嗅ぐと青春を思い出すからです。
真夏の炎天下で汗ダクになりながら部活動に励んでいた時の事や、
夏休みに朝から晩まで予備校に通い詰めて受験勉強していた時の映像が浮かび上がってきます。
色んな事に対して、いちばん一生懸命打ち込んでいた時期なのかもしれません。
(今でも仕事には一生懸命打ち込んでいますよ(笑)。でも運動の方はサッパリ。。)
不思議な事に、心身が疲れた時にこのペトリコールの匂いを嗅ぐと、学生時代を思い出しヤル気がみなぎって元気になります。
以前にも少し日記で述べた事があるのですが、プルースト効果(香りによって記憶や感情が蘇る現象)というものです。
私にはポジティブなイメージの香りですが、
人によっては嫌な思い出とリンクしてネガティブなイメージを持っている人もいるかも知れませんね。
冬のひんやりとした硬い空気の匂い、春の柔らかい新緑の匂いなど、
四季のある日本ではその季節ごとに様々な香りがあると思いますが、ペトリコールは私にとって夏の香りです。
梅雨が明けると、夏本番!
運動不足解消のため、夏限定で水泳でも始めてみようかと思います。
DMK