香料屋さんが綴る、「香り屋日記」香りに関わる富士香料化工のスタッフが、日々感じた事を連載していきます。
2020年10月06日
食感
食べ物を口に入れたとき、感じる感覚は様々なものがあります。
口内から鼻にぬける香り、甘いやしょっぱいなどの味、熱い、冷たいなどの温度などです。
最近、それら五感の中で気になっているものがあります。
それが食感です。食べる時、この食べ物はどんな食感や味、匂いがするのだろう?と食べる楽しみの一つの要素になっていると思います。
その食感で特に好みなのは「もちもち」食感です。
もちもち食感は粘弾性、粘りと弾力を持ち合わせている面白い食感です。
もちもち食感を有する食べ物は語源となった餅や、去年第三次大ブームを巻き起こしたタピオカなどが挙げられます。
また、日本人はもともと粘りのあるものが好きな民族とされています。主食に粘りや弾力のある米を食していたため、同じ要素のあるもちもち食感を好きになりやすいようです。
もちもち食感は粘りと弾力の2つの要素で食感を刺激します。またその食べ物自体にはそれぞれ味や温度、匂いなどを持ち合わせており、一度に複数の要素から感覚を刺激されるためとても刺激の多い食べ物になるのではないかと考えました。
そのため食物から受ける刺激が多ければ多いほど興味が湧いたり、好みと思ったりするのではないかと思います。
ディストピア飯のような見た目や食感が画一的なもの、無味無臭なもののような面白みのないものはまずいとされ、食事と感覚は切っても切り離せないものです。
そういったように食感ひとつとっても多種多様な食感があり、その食感を表現するための語彙が豊富にありと、食感の沼は深そうだなと思っています。
食べることは単に栄養補給のためだけではなく、感覚刺激です。
その感覚刺激を楽しみ、共有し、食を楽しむことがひどく面白いと感じています。
あなたが食事をするときは、どんな感覚に注目していますか?
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